冬ごもり

『春在一枝中』
はるは いっしのなかにあり



先日、茶道教室のお稽古用の主菓子として
お菓子を製作・納品させていただきました。


ありがたいことに味を信頼していただき、すべて任せていただいての製作となり、大きな学びの機会をいただきました。

今回は定番でお作りしているプラントベース(植物性原材料のみ)の全粒粉パウンドケーキを軸に今の季節を自分なりに捉え、お茶菓子用にこしらえました。


柑橘ピールと生姜の全粒粉パウンドケーキ


一見するとなんの変哲もない、とても素朴な焼き菓子なのですが口にすると柑橘の明るさや鮮やかさが目に浮かび、生姜でほんのりと土を思わせた香りを感じるようにしました。

上に豆乳のクリームをのせると、焼き菓子が地面でクリームが雪のように。



お菓子の写真は、撮り損ねたため
茶道教室の先生にいただいた写真です。


茶道教室の先生は、このお稽古の間お菓子の銘を 『雪間(ゆきま)』 と名付けてくださいました。
この銘もとても素敵で気に入っていますが自分で銘を考えるならば、、とここ数日想いをめぐらせて辿り着いたのが 『冬ごもり』 です。

こちらは冬のはじまりの言葉と思っていましたが、冬の間こもってじっとしていることは、春へ向けて力を蓄えていること。それはもう春へ気持ちが向いていることということであり、春の枕詞でもあります。

この言葉の由来を知り、お菓子を作りながら考えていた今の季節への自分なりの想いに重なりました。

日本の暦上は春だけれどこの土地ではまだまだ寒くて、雪に覆われた色の少ない冬が続きます。そんな中わたしはあたたかな家の中で、いよかんや甘夏などの柑橘を食べながら、それらが実るようなあたたかな地へ心を寄せたり、じっと次の春への準備をしたりして過ごしています。けれど長い冬にもすこし飽きてきて、散歩をすると周りの木々に次の春 芽吹くための冬芽をみつけ、元気をもらったり明るい気持ちになります。
この冬から春にかけての あわいの気持ち はなんと表したらいいのだろう、、と考えていたところ、『冬ごもり 』という言葉に出会いました。


このお菓子を毎年、1月から3月くらいまで作るお菓子にしようと決めました。

焦らず自分の住む本来の季節に沿って、素材と向き合っていけたらなと。そして来年はお休み中でも販売できるように、体制を整えていきます。


3月はお問い合わせいただけましたら、お菓子やお茶の通販や配達にも伺います。




はじめの言葉は
この時の床の間にかけられたもの。
冬ごもりにも通じる言葉で、いまの季節とてもすきな言葉です。

一枝の中に春がすべてつまっているという意味です。


茶道を、学べば学ぶほど楽しさに惹かれています。


それでは
今日も佳き一日となりますように。




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